017
ゲーム、やりすぎていませんか?
こんにちは、GIVING TREE CLINICの山口です。
新年度となり、気持ち新たにスタートを切っている方も多いと思います。
スタートダッシュは大切ですが、何ごともやりすぎはよくありませんので、ほどよく頑張っていきましょう。
今回のコラムでは、近年注目されている「ゲーム障害(Gaming Disorder)」についてお話をしたいと思います。
スマホやゲーム機器の進化・多様化により、私たちの生活においてオンラインゲームは身近な存在になりました。
電車内でもスマホでゲームに興じる中高生の姿をよく見かけます。
オンラインゲームをすること自体は問題でなく、娯楽や気分転換、コミュニケーションツール、さらには「居場所」、「つながり」としてオンラインゲームが役に立つこともあります。
しかしながら、「ゲームがやめられない」、「生活に支障をきたしている」といった理由で、ご家族から相談されるケースも増えており、近年「ゲーム障害」という概念が注目されています。
ゲーム障害は、2019年に世界保健機関(WHO)による国際疾病分類ICD-11において正式な疾患として位置付けられました。
ICD-11におけるゲーム障害の診断基準は以下の通りです。
① ゲーム行動をコントロールできない
② 他の活動よりゲームを優先してしまう
③ 生活、学業、仕事などに重大な悪影響が出ていても続けてしまう
これらの状態が少なくとも12ヶ月以上持続する。
ここで注意すべき点として、ゲームに興じる時間が長いからといって、すぐにゲーム障害と診断されるわけではないことです。
しかしながら、ゲームの時間が極端に長い子どもや夜中にゲームをやっている子どもは、その「予備群」として注意であり、予防に努めていくことが大切です。
ゲーム障害の背景には、心理社会的な要因や精神疾患、発達特性が関与していることがあります。
たとえば、家庭内葛藤や学校生活における勉強や対人関係のストレスから抑うつ気分や不安を生じ、実生活から逃避する目的でゲームに没頭することがあります。
また、ADHD(注意欠如・多動症)特性のある子どもはゲーム障害を合併するリスクが高いことが報告されています。
その一方で、依存性を高めているゲーム設計上の問題も指摘されています。
たとえば、連続ログインやレベルアップによる達成感、ランダム報酬(ガチャ)による期待感、仲間と協力する連帯感などは、ゲームをやめにくくする要因となっています。
すなわち、ゲームをやめられない背景には、本人のおかれている環境や性格・特性だけでなく、ゲーム設計上の問題も大きく影響していると言えます。
ゲーム障害の治療は、ゲーム機器の使用から上手に遠ざかることが大切ですが、ただ単純にゲームの使用を禁止しても効果は限定的です。
むしろ反発心を煽り、症状を増悪させてしまうこともあります。
そのため、ゲーム障害の治療の第一歩は、自身がゲームをやりすぎているという自覚を持ち、自身でゲームについてのルールをつくることがとても重要になります。
また、ゲーム以外の活動を充実させ、規則正しい生活を心がける必要があります。
もちろん、学校に登校できればよいのですが、学校のストレスが誘因になっている子どもも多く、そのような場合には早急な登校再開にこだわらず、スポーツや読書などゲーム以外の活動を充実していく工夫をしましょう。
家族で一緒に過ごす時間が減っている場合には、家族で外出したり、ボートゲームをするなど安心して話せる環境づくりをしましょう。
ここまで述べてきたように、大切なことはゲームを完全に排除することではなく、実生活とのよいバランスをとって楽しんでいくことです。
ゲームをやりすぎることなく、充実した日常生活を心がけましょう。
山口 大樹
