不安障害
(パニック障害、社交不安障害)
不安障害とは
不安障害とは、不安や恐怖を過剰に感じてしまい、日常生活に大きな支障をきたしてしまう疾患です。不安や恐怖の対象や症状によっていくつかの疾患に分類されます。ここでは診療場面でもよくみかけるパニック障害と社交不安障害について説明いたします。
パニック障害とは
- パニック障害とは、突然襲ってくる激しい発作(これをパニック発作といいます)が繰り返し起きることで、「死んでしまうのではないか」といった強い不安や恐怖が生じ、「次はいつ発作が起こるのか」という不安(これを予期不安といいます)から、日常生活に支障をきたしてしまう疾患です。
- パニック発作の症状として、動悸、発汗、身震い、息苦しさ、吐き気、めまいなどがあり、発作のピーク時には過換気発作がみられることもあります。
- 多くの患者さんは、動悸や息苦しさのため、内科や救急外来に受診を繰り返しており、身体的に問題がないことから心療内科・精神科に受診されることも多いです。
- 電車内や教室、人混みなど特定の環境(多くはその場から退避できない環境)に限局したパニック障害を広場恐怖といいます。
- 日本におけるパニック障害の生涯有病率は0.8%程度で、女性に多く、20代前半に発症することが多いといわれています。
- 発症の原因には、ストレスが大きく関係しているといわれています。
GIVING TREE CLINICの治療
- パニック障害の治療は、パニック発作を完全に抑えることを目標とします。
- 発作を抑えるためには、ストレスを軽減し、自律神経を整えることが大切ですので、睡眠、食事、運動といった日常生活の指導を重点的に行います。
- 認知行動療法(CBT)が有効ですので、必要に応じて公認心理師・臨床心理士によるカウンセリングを行います。
- 広場恐怖に対しては暴露療法が有効ですので、日常生活のなかで、恐怖を感じている環境に段階的に慣れていくためのトレーニングを行います。
- おくすりは、選択性セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を第一選択として使用いたします。
- SSRIの効果が安定するまでの期間に少量の抗不安薬を併用することや、抗不安薬を頓用で使用することがあります(GIVING TREE CLINICでは抗不安薬の長期的な内服を推奨しておりません)。
社交不安障害とは
- 社交不安障害とは、人前で話をすることや食事をすること、字を書くことなどに対して、絶対に失敗したくないという強い思いから不安や恐怖が生じ、その状況に苦痛を感じたり、回避してしまう疾患です。
- 単なる「内気な性格」でなく、長期間にわたり不安や恐怖が持続することが特徴です。
- 主な症状として、赤面、動悸、めまい、発汗、腹痛、吐き気、息苦しさなどの身体症状があり、時にはパニック発作を生じることもあります。
- 日本における社交不安障害の生涯有病率は1.4 %程度で、女性に多いといわれています。
- 思春期に発症することが多く、50%の患者さんは2-3年以内に改善するといわれています。
- うつ病や発達障害を合併することや、重症化すると「ひきこもり」となってしまうこともあります。
- 子どもの場合、緘黙や不登校の原因となっていることもあります。
GIVING TREE CLINICの治療
- 認知行動療法(CBT)が有効ですので、必要に応じて公認心理師・臨床心理士によるカウンセリングを行います。
- おくすりは、選択性セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を第一選択として使用いたします。
- SSRIの効果が安定するまでの期間に少量の抗不安薬を併用することや、抗不安薬を頓用で使用することがあります(GIVING TREE CLINICでは抗不安薬の長期的な内服を推奨しておりません)。