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妊娠・出産とメンタルヘルス

[2024.09.07]

こんにちは、GIVING TREE CLINICの山口です。

今回のコラムでは、妊娠・出産とメンタルヘルスに関連したお話をしたいと思います。

このコラムは、私が執筆した「今日の治療指針2023年版 妊産婦精神疾患」をもとに解説したいと思います。

ご興味のある方は成書を読んでみてください。
https://www.igaku-shoin.co.jp/book/detail/111894 

妊娠・出産とメンタルヘルス

女性にとって、妊娠や出産はとても大きなライフイベントのひとつです。

妊娠や出産によって、生活環境は大きく変化することはもちろんですが、女性ホルモンのバランスが変化することで生物学的にも普段とは異なった状態となり、時にメンタルヘルスの不調をきたすことがあります。

健常な妊婦さんであっても、特にはじめての妊娠・出産では、妊娠中の健康不安、出産後の子育てや経済的な不安などさまざまな不安を抱えていると思います。

近年の研究によると、母体が妊娠中にストレスに暴露されると、胎児に直接的な影響を及ぼすばかりか、成長したあともメンタルヘルスに問題を生じる可能性があることが報告されています。

そのため、妊娠中はできるかぎりストレスや不安を軽減し、安心して妊娠の継続し、出産を迎える準備をすることが大切です。

妊娠中や出産後6~8週頃までは、メンタルヘルスの不調をきたしやすい時期であり、元々メンタルヘルスの不調を抱えている妊産婦さんは、この時期に症状が悪化することがあり注意が必要です。

「マタニティ・ブルーズ」は、出産後早期に比較的多くみられる不機嫌、気持ちの不安定さであり、その多くは一時的で自然軽快していくため、正常な心理的反応と考えられています。

産後うつ病は、妊娠中から出産後4週以内に発症し、その頻度は10~15%といわれています。症状は一般的なうつ病と同様ですが、特に育児に関する過度の不安や自責感がみられることが特徴です。

精神症状が重症な場合には、地域の保健師さんや子ども家庭支援センターと連携し、継続的にサポートしてもらうことも大切です。

 

妊娠中や授乳中のおくすり

妊娠7週目頃までは、胎児の重要な臓器や骨格がつくられる時期のため、おくすりの使用はできるかぎり避ける必要があります。

ただし、精神症状が重症な場合には、おくすりを中断することにより症状が悪化してしまうリスクがあるため、おくすりを継続することが推奨されています。

おくすりを継続する場合にも、胎児への影響が懸念されるおくすりもあるため、きちんと主治医に相談することが大切です。

授乳中のおくすりは、赤ちゃんへの影響は少ないといわれていますが、ベネフィットがリスクを上回る場合に限って使用することが望ましいです。

必要に応じて、ミルクを上手に併用していくことも検討してもいいと思います。

GIVING TREE CLINICでは、妊娠・出産を希望される患者さんやそのご家族に対して、プレコンセプションケア(Preconception Care)と呼ばれる専門的な支援を行なっています。

また、中絶や流産などお辛い体験のためメンタルヘルスの不調をきたしている場合には、公認心理師・臨床心理士によるカウンセリングを利用することも可能です。

妊娠・出産はゴールでなく、新たなスタートです。

それぞれの患者さんがご自身の健康や生活に向き合いながら、楽しく安全に妊娠・出産や子育てを継続できるようにサポートしていきますので、お悩みの際にはいつでもご相談ください。

山口  大樹

【関連サイト】

日本周産期メンタルヘルス学会 周産期メンタルヘルスコンセンサスガイド

http://pmhguideline.com 

日本精神神経学会 精神疾患を合併した、或いは合併の可能性のある妊産婦の診療ガイド

https://www.jspn.or.jp/modules/advocacy/index.php?content_id=87 

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